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2018年4月

 概況
  • 景気拡大が続く見込み
    世界の製造業生産は、原油価格の下落や同セクターにおける投資削減に加え、中国の基幹産業における過剰生産能力を悪化要因として2015〜16年に低迷した後、2017年から2018年初頭にかけて力強く回復しました。米国経済が2017年4-6月期と7-9月期に堅調に推移し、大陸欧州の景気が2017年を通じて着実に回復したことから、世界全体のGDP成長率は落ち着いた推移となりました。ただし、中国では、原材料加工産業と住宅セクターの緩やかな減速によって景気の勢いが弱まっています。この景気拡大局面の先に目を向けると、今や米国や欧州、中国において景気の勢いが弱まる兆しが見え始めています。しかし、この兆しは景気回復ペースの低下を示すものに過ぎず、回復の終了を意味しているわけではありません。

  • 経済成長に対する二つの潜在的な逆風
    景気拡大期に踊り場に入ることはごく一般的なことであり、最も顕著な例は、米国の金利上昇に伴って景気が減速した1994〜95年と2004〜05年に見られました。現在は、経済成長に対する二つの潜在的な逆風があると思われます。

    まず、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げの実施と同時にバランスシートを縮小していることを踏まえると、米国経済の行方は、規制が強化されたバーゼルIII体制の下で銀行と金融システムが新たな信用創造を実現できるかどうか次第となるでしょう。重要なのはFRBのバランスシートの規模縮小自体ではなく、それが銀行システム全体の資金に及ぼす影響です。ここでの主なリスクは、米国のマネーサプライとクレジットの伸びが既に4%前後に低下しており、さらに低下すれば経済成長を抑制する可能性があることです。

    次に、トランプ大統領が仕掛けた貿易関係を巡る中国との対立は、経済活動を一時的に不安定化させる可能性があります。報道では、「貿易戦争」が世界的な景気減速を引き起こす恐れが広く懸念されています。しかし、実際にはその可能性は低いでしょう。関税が実施されれば、確かに米中双方の消費者にとっての輸入物価は上昇するでしょうが、全体の経済成長に与えるダメージは限られる見込みです。それよりもはるかに大きなダメージをもたらすのは信用収縮や意図せざる金融引き締めからであり、1929〜33年の大恐慌(このときはまた、スムート・ホーリー関税が導入されたときでもありました)や、2008〜09年の世界金融危機時がそうでした。

  • インフレは依然として抑制されており、景気拡大への脅威となってはいない
    エコノミストのコンセンサス予想では、米国のインフレ率は年内に大幅に上昇する見込みです。しかし、米国やユーロ圏、日本の過去8年間のインフレ率は、中央銀行の目標水準である2%を下回って推移してきました。(量的緩和を通じた)異例の金融政策、超低金利水準、財政赤字(財政出動)といった環境下であるにもかかわらず、目標水準を下回るインフレ率が続いていることは、伝統を重んじるアナリストを困惑させています。彼らは、労働市場がひっ迫していることを踏まえ、雇用のタイト化や設備稼働率の上昇がインフレを誘発するとする「フィリップス曲線」や「需給ギャップ分析」に基づいてインフレ上昇を予想していたからです。しかし、そうした考え方の問題点は、インフレを単に労働市場ひっ迫の結果とだけ捉え、貨幣的現象としていないことです。要するに、足元は多くの主要先進国でマネーサプライの伸び率が低水準で、インフレ率押し上げに十分な水準を大幅に下回っているということです。この状況が続く限り、景気拡大に水を差すリスクを負ってまで金融政策を引き締めなければならないほどインフレが加速することはないでしょう。

  • 最近の株式市場の調整
    米国の減税に後押しされて2017年12月〜2018年1月に力強く上昇した株式市場ですが、2月から3月にかけては主に3つの要因によって下落しました。最初の要因は、(2月初めに公表された)米国の1月の平均時給の前年同月比上昇率が2.8%に高まったことから、インフレ警戒感が生じたことです。その後の同指標は、2月が2.6%、3月が2.7%と賃金の持続的な上昇加速を示さず、当面のところは、賃金主導で、または「フィリップス曲線」に沿ってインフレ・スパイラルに陥るとの懸念は和らぎました。次の要因として、2016〜2017年のほとんどの期間を通じて相場上昇をけん引していた情報技術セクターが、FacebookやAmazonなど一部の超大型株への一連の災難から打撃を受けました。さらに3番目の要因として、トランプ大統領の保護主義政策によってエスカレートしている中国との貿易戦争が、幅広い業種でセンチメントを悪化させています。ただし、トランプ減税を発端とした12〜1月の株式市場の急騰を踏まえれば、何らかの調整は避けられず、また望ましいものだったと言えます。

 米国

2018年1-3月期には、パウエル氏がイエレン氏の後任としてFRB議長に就任し、トランプ政権は中国市場を米国製品と米国企業に開放させるために、中国に対する脅迫的な貿易政策を強めました。一方、米国の国内経済は、インフレ率が大幅に上昇するとの予想が(私の考えでは誤って)広まっているものの、引き続き低インフレを伴う穏やかな成長を続けています。

こうした状況の中で、まず、FRB新議長の選任が2018年に流れを大きく変える可能性は低いと思われます。パウエル氏は2012年からFRB理事を務めており、議会証言において、中小銀行の貸出条件を緩和する可能性を除き、新指導部の下で金融政策に劇的な変更がないことを明確にしました。結局のところ、パウエル議長は連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定会合で投票権を有する最大12名の委員の1人に過ぎず、緩やかで段階的な利上げを行うと同時に、バランスシート縮小によって量的緩和を巻き戻すという現行政策を長く支持していました。むしろ、真の懸念はマネーサプライとクレジットの伸びが緩やかすぎることにあると言えるでしょう。M2や、M3の代替指標は伸び率が既に前年比でわずか4%に低下しており、銀行のバランスシートの資産サイドにおける貸出の増加率も同様にわずか4%と、2016年後半の7〜8%から低下しています。この減速が続き、シャドー・バンキングの活発化によって穴埋めされるようなことがなければ、インフレ率が現在の市場予想を下回る水準にとどまるばかりでなく、経済活動も流動性の収縮に伴って突然停滞する可能性があります。

次の注目分野は、米政権が中国との貿易戦争をエスカレートさせていることです。トランプ大統領が鉄鋼に25%、アルミニウム製品に10%の輸入関税をかけるという案を3月1日に公表したこと(ただし、カナダ、メキシコ、欧州連合(EU)、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、韓国は後に免除されました)を受けて、中国とEUは直ちに米国の輸出品に関税をかける対抗案を提示しました。3月22日、トランプ大統領は知的財産権侵害を理由に、航空産業や情報技術産業、エネルギー産業で使われる部品を含む最大600億米ドル相当の中国製品輸入に25%の報復関税をかける案を提示しました。

3月31日〜4月1日の週末にかけて、中国は米国の関税への対抗措置として、食肉、ワイン、果物、ナッツ、エタノール等の米国の輸出品に25%の関税をかける計画を示しました。4月3日、米国通商代表部は25%の関税をかける対象として、1,300品目の中国製品リストを公表しました。リストには、フラットテレビから食器洗浄機や除雪機、ワクチンに至るまで、さまざまな家庭用品の製造に使われる部品が含まれています。4月4日、中国は再び反応し、航空機や自動車、大豆、ウイスキーを含むより多くの米国製品に25%の関税をかける独自の計画を示しました。

米国側では、いずれの措置も執行されるまでに60日間の猶予があり、米国が本当に脅迫を実施に移すつもりなのか、中国が妥協案を提示することになるのかは今のところ分かりません。確かに、両国で事態が急速にエスカレートしていることを受け、投資家は1930年6月に制定されたスムート・ホーリー関税法と、その後、他の国が課した同様の関税がもたらしたと思われるダメージを思い起こしています。一部の歴史家は、これらの関税が1930年代の大恐慌の根本的な原因だったとしていますが、現在では、それが誤りであり、大恐慌の主な原因はスムート・ホーリー関税ではなく、1929〜33年の金融収縮だったことを、主としてミルトン・フリードマンとアンナ・シュワルツの著名な研究(「合衆国の貨幣史」)によって我々は知っています。これが意味することは、関税または貿易戦争は、それが長期化すれば、主要国間の貿易の伸びを抑制することにはなるものの、内需の水準が維持されるようであれば、おそらく、全体のGDP成長率にはわずかな影響を与えるだけだろうということです。

米国の経済成長は1-3月期に減速の兆しを示しており、景気過熱の結果、インフレが高まると懸念していた向きには安心感を与えるでしょう。例えば、IHSマークイット購買担当者指数(PMI)で捉えた製造業生産は、2018年3月に55.6と、2月の55.3をわずかに上回りました。同指数は12月の法人税減税のおかげで製造業部門の生産高が2015年3月以来の最高水準を示し、それが投資と新規受注の増加を促していますが、伸び率は4カ月ぶりの低水準となりました。3月に雇用者数の増加幅(10万3千人増)が縮小したことも、米国経済が潜在成長率に近づいていることを示すものだと思われます。

物価については、製造業者が直面するコスト負担が3月に2012年11月以来の最大ペースで増加しました。企業は、価格上昇が、もっぱら最近発表された関税や原材料コストの上昇によって引き起こされたものだと言及しています。特定のセクターで、堅調な需要を背景に購買活動が2014年9月以来の大きな伸びを示したことから、一部の企業が原材料や部品の在庫を積み上げました。その結果、サプライ・チェーンにかかる圧力が強まり、配送時間の長期化につながっています。こうした圧力や、2017年の4〜7月の物価が低迷したことによる前年比でのベース効果が、一部品目のインフレ率を押し上げる見込みであるものの、インフレ率を大幅に上昇させるうえで必要なマネーサプライやクレジットの伸びが存在していません。したがって、全体のインフレ率は、上昇基調に転じるのではなく、緩やかな上昇にとどまると予想すべきでしょう。要するに、インフレ率はFRBの目標水準に回復するものの、過度に深刻なものとなることはないでしょう。

私は、2018年の実質GDP成長率を+2.5%、消費者物価指数(CPI)上昇率を平均で+2.3%と予想しています。

 ユーロ圏

最近の経済・政治動向はユーロ圏の景気減速リスクを示していますが、確信を持って判断するには時期尚早です。3月4日に行われたイタリアの総選挙の結果を受けた政治の行き詰まりは、解決までに数カ月を要すると予想されます。フランスでは、国鉄の労働組合がマクロン大統領の労働市場改革計画に抗議して断続的なストライキを実施しています。ドイツでは、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)、CDUと姉妹関係にあるバイエルン・キリスト教社会同盟(CSU)、ドイツ社会民主党(SPD)による「大連立」内閣が3月4日に合意されたものの、2017年に好調だった経済活動の減速を示す複数の兆しがあります。

イタリアでは、まず伝統的な政党と反体制派の政党による連立達成が難しいこと、次に左派と右派の両陣営で内部抗争があることから、政権を樹立するプロセスが複雑化しています。最大の議席数(222議席)を確保した反体制派の五つ星運動は、中道右派の同盟(125議席)と連立を組むことができるものの、そうすれば民主党(111議席)およびフォルツァ・イタリア(104議席)と対立しなければなりません。交渉が長引き、再選挙となる可能性も排除できません。

フランスでは、マクロン大統領の改革が終身雇用や一部の労働者に認められる52歳からの早期退職、家族の無料利用といった鉄道労働者の特権に切り込んでいることから、抗議が激化しています。マクロン大統領は権力の階段を登る中で、消費者や納税者を犠牲にしてきた内部者の既得権益に常に反対しました。そのため、日曜営業を広め、タクシー業界のロビー活動に反してUberなどの自動車配車アプリを支持し、長距離バスや法務サービスへの参入障壁を軽減してきました。国営化された鉄道会社のSNCFの場合、フランスは2021年までに競争を自由化することでEUと既に合意していますが、同社は460億ユーロの債務に苦しみ、赤字は毎月拡大しています。その他、専門教育制度に対する労働組合の支配を緩和し、失業保険や医療保険の財政を改革するというマクロン大統領の計画は、いずれも今年の春から夏にかけて社会的な緊張を高めると予想されますが、国民の多くが改革を支持していることから、改革が道を外れる可能性は低いと思われます。

ユーロ圏全体の経済成長に目を向けると、2017年の上向き基調は2018年前半まで継続するものの、成長がピークを迎えつつある明白な兆しが、特にドイツ経済において見られます。ドイツでは個人消費の伸びが2017年7-9月期と10-12月期に低下し、建設業(-2.2%)と製造業(-2.0%)の減少を要因として、鉱工業生産が2月に縮小(前月比-1.6%)しました。IFO景況感指数とZEW景況感指数はいずれも3月に低下し、特に後者は長期平均の23.6に対し、12.7ポイント下げて5.1になりました。ユーロ圏全体に関するコンセンサス予想では、実質GDP成長率が2017年10-12月期の2.7%から2018年10-12月期までに2.2%、2019年10-12月期には1.8%に低下すると予想されています。

こうした状況を背景に、欧州中央銀行(ECB)は資産購入額を月間300億ユーロに縮小し、おそらく9月から完全に終了する予定ですが、主要政策金利をゼロに維持していることは一見適切と思われます。結局のところ、ユーロ圏は妥当な経済成長率を回復しており、インフレ率は今や1%を超えています。ただし、ユーロ圏の銀行システムは依然として脆弱です。不良債権比率が複数の国で高く、貸し出しの伸びはユーロ圏各地で低迷しています。ECBが資産購入を完全に停止すれば、地域全般にわたる預金の伸び率と、したがってM3の伸び率が再び低下して、GDP成長率を押し下げる可能性があり、インフレ率がゼロに向けて低下する原因になるでしょう。

私は、ユーロ圏全体で2018年の実質GDP成長率を2.3%と予想しており、主にM3の伸びが不十分であることから、総合インフレ率は1.5%と目標の2%をまだ下回ると予想しています。

 英国

英国の実質GDP成長率は2015年の2.4%から2016年に1.9%、2017年には1.8%に鈍化しましたが、その鈍化のスピードは、英国のEU離脱(ブレグジット)を問う国民投票が行われた2016年6月に同国の財務省やIMFなどの公的機関が公表した予想をはるかに下回るものにとどまっています。財務省は、ブレグジットに関する「慎重」なシナリオの下でさえ、(離脱しない場合と比べて)実質GDPが減少し、英国が世界貿易機関(WTO)の協定に基づく貿易に移行した場合には、さらに減少すると予測していました。さらに、大幅な雇用の喪失や失業者の大幅な増加、住宅価格の下落を予測しました。EUからの離脱プロセスはリスボン条約第50条に基づいて少なくとも2年を要することが知られていたため、GDPが直ちに減少し始めるとの推定はやや非現実的でしたが、この予測は当時のオズボーン財務相が要求したものでした。財務省は、「残留」シナリオの下で起こると予想された状況と比べ、実質GDPが2016年半ばから2018年末までにほぼ2%減少すると予想しましたが、実際には、2016年初めから2017年末までの経済成長率は3.2%となり、2018年末までに累積で5.0%拡大すると予想されます。

英国の経済成長率は、「米国並み」の2.0〜2.5%から「欧州並み」の約1.5〜2.0%に低下しましたが、雇用者数は引き続き増加し、失業率の低下が続いています。2月の名目小売売上高は前年同月比4.0%増加し、数量ベースでは1.4%増加しました。加えて、英国産業連盟(CBI)のサーベイ(聞き取り調査)では、受注指数が1980年代終盤のブーム以来の最高水準となっています。

英国経済が2016年のエコノミストのコンセンサス予想よりもはるかに堅調に推移しているという事実を説明する要因はいくつかあります。まず、圧倒的に最も重要なのは、英国が競争力の高い市場主導の経済で、EUの官僚からの特別な配慮に依存しないという点です。あらゆる制度や奨励金に加え、能力が高く、適応力のある労働力、長く続く法の支配、多くのセクターにおける厳格な規制体制が、いずれも過去40年にわたる生活水準の向上を可能にしてきました。こうした特性は、英国がEUを離脱した時に、悪化するよりも強まると予想されます。

英国経済が堅調に推移してきた2つ目の要因は、英国の独立した金融政策にあります。近年の金融政策は景気回復を大いに支えてきました。英国の金融政策はECBの政策とは対照的です。ECBの政策は、少なくとも量的緩和(QE)に踏み切った2015年3月まで、イングランド銀行(BOE)と比べてあまり緩和的ではありませんでした。英国の金融政策は、国民投票でブレグジットが決定した時点で既にかなり緩和的でしたが、その後、BOEの金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.5%から0.25%に引き下げ、量的緩和の規模を600億ポンド増額し、産業向け銀行貸出の拡大を促す貸出促進策(ターム・ファンディング・スキーム)を設定することで、さらなる景気刺激を図りました。M4x(家計および企業の支出可能資金を最も適切に反映するマネーサプライの基準)の伸び率は、2016年1-3月の平均で前年同期比+4.5%となりましたが、その後の2016年7月〜2017年6月には平均で+7.0%に加速しました。同様に、消費者信用と金融セクター向け貸し出しは同期間に2桁の伸びを示しました。こうしたマネーサプライやクレジットの急速な伸びが2016年半ば以降の名目支出の急速な拡大の主な要因となりました。インフレ見通しにとっては幸いなことに、マネーサプライの過去1年間の伸び率は2017年初頭から4〜5%のレンジに減速しています。

景気が拡大している3つ目の要因は、英ポンド安によって英国製造業の輸出受注が急増し、30年ぶりの高い伸び率を示していることです。そのため、CBIの月次サーベイでは、国内受注と輸出受注の指数がともに1995年以来の最高水準となりました。また、サービス業と製造業の総合購買担当者景気指数(PMI)は、2018年最初の3カ月の平均で53.5と、プラスの領域に安定してとどまっています。名目輸出は2017年2月以降に急増し、2017年9月に過去最高(538.8億ポンド)をつけ、2018年1月もほぼ同水準(536.5億ポンド)となりました。通貨安に対する対外収支の反応が遅れる典型的な「Jカーブ効果」によって、2018年を通して輸出のさらなる改善が期待されます。

その他に英国経済が有利な要因は、EU加盟諸国と比べて労働市場の柔軟性が高いことです。この点は非常に低い失業率や堅調な雇用増加、高い労働参加率に直接反映されています。失業率は11月から1月までの3カ月にわたり4.3%と1年前の4.7%から低下し、1975年以来の最低水準を維持しました。同様に、同じ3カ月の間に総雇用者数も前年から40万2千人増加して3,225万人に達し、労働参加率(16〜64歳の人口に占める労働力人口の割合)を1年前の74.6%から75.3%に押し上げ、いずれも比較可能な計測が始まった1971年以降の最高水準となりました。

これらの良好な統計値とは対照的に、11-1月の3カ月間の平均週間賃金は(ボーナスを含めて)2.8%増えましたが、消費者物価指数が前年同月比3.0%上昇したことから、実質ベースの週間賃金は同0.2%減少しました。インフレ率の上昇要因が輸入物価上昇によるものか、国内要因によるものかに応じて、BOEはそのスタンスを変えてきました。当初は、インフレ率の上昇が輸入物価上昇によるもので、自らがコントロールできるものではないとみなしました。しかし、国内支出の急速な増加を示す兆候が積み重なったことから、BOEは態度を変えました。まず、2017年6月27日に民間銀行の自己資本要件である「カウンターシクリカル資本バッファー」をリスク加重資産に対して0.5%(114億ポンドに相当)引き上げることを決定しました。次に、9月のMPCの議事要旨で、委員の大多数が「今後数カ月にわたり金融緩和措置の一部の解除が適切になる」と予想していることを明らかにしました。さらに、11月2日のMPC政策決定会合では、ついに政策金利を0.25%引き上げ、0.5%にしました。最後に、カーニー総裁は2月、MPCの委員が前回の11月の会合で見直した時の想定より「早期」かつ「若干大幅に」利上げを行う必要性があると示唆しました。

私は、2018年通年の英国の実質GDP成長率を+1.8%、CPI上昇率を+2.4%と予想しています。

 日本

日本の実質GDP成長率は、2017年10-12月期に前期比+0.4%、年率換算で+1.6%となりました。これは暫定値の+0.1%から顕著な上昇となりました。2017年10-12月期の堅調な経済成長は主に設備投資と在庫の統計データが上方修正されたおかげでした。IT製品に対する世界的な需要が、自動車や半導体、精密機械など、日本で最も生産性の高いセクターの多くに設備投資の拡大を促しました。これはアジアの他の主要輸出国で見られる傾向に類似しています。製品・サービスの輸出も2017年10-12月期に力強く拡大しました。たかだか数四半期の傾向が今後も続くと想定することは必ずしも賢明なことではありませんが、日本の経済成長率が過去2年間で安定化したことは特筆すべきことです。日本経済は今や、ほぼ30年来の最長となる8四半期連続のプラス成長を記録しています。

日本の労働市場は依然として逼迫しており、2018年2月の失業率はわずか2.5%でした。有効求人倍率は1.6倍に上昇し、1970年代半ば以来の最高水準となりました。しかし、賃金上昇率はまだ横ばいで、2018年1月には前年同月比でわずか0.3%の上昇にとどまりました。消費者物価上昇率は上向いており、2018年2月の総合インフレ率は前年同月比+1.5%でした。生鮮食品を除くコア・インフレ率も加速し、2月に同+1%に高まりましたが、生鮮食品とエネルギーを除くコア・コア・インフレ率は同+0.5%となりました。ある程度の物価上昇はあるものの、フィリップス曲線によるインフレの説明を支持する人々が予想する水準には遠く及んでいません。その他多くの国で見られるように、日本の低い賃金上昇率は引き続き記録的に低い失業率を伴っています。日本の広範なマネーサプライの伸びはまだ持続的な物価上昇を生み出すほど大きくはありません。低い賃金上昇の結果、個人消費は依然として停滞しています。サービス部門の信頼感が2月に3カ月連続で低下し、10カ月ぶりの低水準となったことは、不安定な個人消費を浮き彫りにしています。

円の貿易加重為替レートは年初来で4%上昇し、緩やかな円高となりました。米中間の貿易をめぐる緊張の高まりが続く限り、円は引き続き支えられると予想されます。日銀の黒田総裁は2018年3月、2%のインフレ目標が2019年度に達成されれば、質的・量的緩和(QQE)政策を終了する見込みであることを初めて示唆し、市場にショックを与えました。マネーサプライの現在の伸びを踏まえると、2%のインフレ率が実現する見込みは依然として低いと言えます。M2が2018年2月に前年同月比3.3%増加した一方、2%のインフレ率が持続するためには、M2が年率5〜6%で増加する必要があるでしょう。一方、インフレ率が2%の目標を大きく下回っていることを踏まえると、日銀の金融政策に引き続き変更はないと予想されます。

2018年2月、生産性の向上を目指した重要な労働法改正案について、安倍首相が改正の裏付けとなるデータが不適切であることを認めた後、少なくとも一時的に断念せざるを得なかったことから、安倍首相の改革は打撃を受けました。この法案先送りは、企業や投資家の間で安倍首相の支持率を落とすことになりうる政治的譲歩でした。改正法案は、従業員が一定時間働いたとみなされ、実際の勤務時間にかかわらず固定賃金を支払われるという「裁量労働制」を拡大するものでした。不適切なデータは主に裁量労働制に関連していました。

総じて、2017年の日本経済は上向き基調で終わったものの、景気の勢いが今年もそのまま続く可能性は低いと言えます。軟調な消費需要が景気を抑制しており、鉱工業生産の伸びが2018年1月と2月に減速したことから、設備投資の拡大による押し上げ効果は弱まると予想されます。私は、2018年の日本の実質GDP成長率を+1.4%、総合インフレ率を平均で+1%と予想しています。

 中国

中国の2017年通年の経済成長率は政府目標に沿った+6.9%となり、2018年の成長率は、エコノミストのコンセンサス平均で6.5%と予想されています。2000〜09年の10年間の著しく高い成長率と比べ、3つの要因が成長率を押し下げています。まず、経済全体で債務が大きく増加した結果、政府の関心は今や過剰債務を抱える企業や地方政府機関の債務削減に向けられています。いかなる経済も、債務を削減しながら潜在成長率を達成することはできません。次に、住宅市場は2015〜16年に住宅価格が高騰した後の後退局面を経験しており、今回の低迷は2008〜09年の世界金融危機以降で3回目となります。さらに、重工業部門は依然として過剰生産能力に悩まされています。過剰生産能力はもっぱら国有企業(SOE)の改革を早く決定しなかったことが直接の原因です。また、米国との貿易摩擦はまだ中国の貿易統計に反映されていません。

2008年から2016年末までの間、中国の景気は債務の大幅な増加によって押し上げられました。中央政府の支配が及ばない経済分野に係る債務GDP比率は120%から265%に上昇しました。その債務の多くは地方政府の資金調達機関や国有企業が負ったものです。これらの地方政府機関や国有企業は銀行システムを通じた特権的な資金調達によって巨大な投資プログラムを手掛けました。一方、純粋な民間企業は自己資本や内部資金によって事業拡大の多くを賄わなければなりませんでした。

債務削減に向けた最初の措置は昨年の夏に講じられました。中国の国家発展改革委員会(NDRC)は2017年8月、鉄鋼、石炭、化学、機器製造などの産業で過剰債務を抱える70以上の企業と、1兆人民元に達するデット・エクイティ・スワップ・プログラムを開始することで合意に達したと公表しました。李克強首相は、国有企業の債務削減を優先し、市場実勢に基づいたデット・エクイティ・スワップ措置を延長することによって債務リスクをさらに抑え込むとの国務院(内閣に相当)の決定を今年2月に公表しました。 2017年末時点のすべての大手製造会社(売上高2,000万人民元以上)の債務資産比率は55.5%で、1年前の水準から0.6ポイント低下しましたが、より多くの債務を抱える国有企業の債務比率は0.9ポイント低下して60.4%となりました。債務抑制キャンペーンは数年かかると思われますが、既に手が付けられました。債務削減が続く中、経済成長率は間違いなく抑制されることでしょう。

次に、住宅市場は2015〜16年のミニブームの後の冷え込みを迎えています。住宅建設は、鉄鋼や銅、アルミニウム、セメントのほか、金融や家具などの多くの主要セクターと幅広いつながりを持ちます。加えて、建設業は多くの労働者を雇います。結果として、中国は他のセクターへの波及効果を最小限にとどめるため、住宅市場の安定化を図ることが不可欠ですが、実際には、2008年以降に住宅市場の急成長(2009〜10年、2012〜13年、2015〜16年)と急減速(2011年、2014年、2017年)を3回も繰り返しています。

マネーサプライとクレジットの伸び率がより安定してきたことは、近年の経済、ひいては住宅市場の全般的な管理における重要な改善点ですが、それでも、住宅セクターを苦しめてきたサイクルの問題は排除されていません。引き続き不安定な状況に対処するため、当局は最大ローン・トゥー・バリュー(LTV)比率の変更や許容されるローン・トゥー・インカム(LTI)比率の調整などのマクロ・プルーデンシャル政策を積極的に活用するほか、第2抵当や第3抵当の設定を制限することで投機的な取引を抑制しています。現在は、北京や上海などの超大都市(ティア1)で住宅価格が下落し、その他主要都市(ティア2とティア3)では住宅価格の上昇率が鈍化している状況です。経済全体の債務削減の程度が当局の満足のいくものとなるまで、住宅バブルが膨らみ始めることを当局が許容する可能性は低いと思われます。

当初、中国の国有企業主体の基幹産業における過剰生産能力の問題は各社に生産制限を課すことによって対処されました。石炭セクターが2016年に年間276日の生産制限を課され、石炭生産が8%減少したことは有名です。その結果、供給不足が原料炭(4倍)と燃料炭(2倍)の国内価格を押し上げたことから、当局は規制を和らげ、炭鉱会社に年間330日の操業を認めざるを得ませんでした。その後2017年に、当局は価格の上限を1トン当たり600人民元、下限を470人民元とし、目標レンジを500〜575人民元とする価格管理には方針を転換しましたが、満足できる解決には程遠いようです。日本で深刻な不況に陥るたびに、経済産業省が民間企業に「不況カルテル」を認めた1960年代と1970年代と比べると、中国は不安定な基幹産業セクターの問題を解決する秘策をまだ発見していません。

ソ連や毛沢東時代の中国、より最近ではアジェンデ大統領時代のチリや1986年のドイモイ(経済改革)政策導入までのベトナムなどで行われた中央管理経済は、資源や企業、価格などに関して、公的所有とコントロールの間に本来備わっている矛盾を解決しながら、経済を成功裏に成長させたことがありません。そのため中国は、国家が経済を部分的に所有し、部分的に管理する状態を維持することを指導部が優先し、根本的な改革の先送りを続ける限り、さまざまな業種で国有企業の立て直しや過剰生産能力の問題への取り組みを続けることになるでしょう。

私は、2018年の中国の実質GDP成長率(政府発表)を+6.7%、消費者物価上昇率を+1.2%と予想しています。

 コモディティ

世界的に広がる経済成長、世界貿易の拡大、米ドル安という現在の環境はコモディティ市場を適度に後押ししていますが、価格が急騰する可能性は依然として低いと言えます。代表的なコモディティ指数であるS&P GSCIとCRB指数はともに過去1年間に上昇しましたが、その程度は異なります。2017年4月以降、GSCIは14%上昇し、CRB指数はわずか2%上昇しました。この差はGSCIに占めるエネルギーの構成割合(50%以上)がCRB指数より大きいことによって概ね説明されます。

ブレント原油価格は前年同期比で20%上昇していますが、2018年初来では安定しています。ただし、長期にわたり1バレル当たり70米ドルを超える水準にとどまることはできないと思われます。米国とイランとの間で高まる緊張が、中東における他の紛争とともに、近年で最も大きな影響を原油価格に与える可能性があるものの、生産量も2018年に増加する見込みです。米国では原油生産が拡大しており、増加する世界需要を満たす十分な供給があります。米国の原油生産は2018年初来で10%、前年比では14%増加しています。ただし、米国の稼働リグ数も増えてはいますが、増加率は大幅に鈍化しています。最新のデータによれば、稼働リグ数は1年前から16.7%増加しましたが、2017年4月の増加率は125%でした。現在の稼働リグ数は1,000台をわずかに超える程度で、2014年に原油価格が暴落する前の1,900台以上の約半分です。世界全体の原油在庫は過去1年間に減少しており、原油市場が地政学的ショックから受ける影響を和らげるバッファーの一部が失われています。国際エネルギー機関(IEA)は、原油需要が2017年の日量9,780万バレルから今年は日量9,930万バレルに増加すると予想しています。

農産物などのソフト・コモディティ市場で最も際立つ動きは、米中間で貿易摩擦が生じていることです。中国の商務省は米国産の小麦やトウモロコシ、綿花、ソルガム、タバコ、牛肉などの農産物に加え、大豆に25%の関税をかける計画を公表しました。大豆は、中国が米国の輸出のほぼ3分の1を輸入する巨大市場である一方、米国内では、トランプ大統領支持者の多い中西部地域の主要産品であることから、中国はあえてこの大豆を標的にしたものと思われます。関税の賦課による最終価格の上昇から中国で売れなくなった分を他国に安値で振り向けざるをえないため、米国の大豆生産者は大きな打撃を受けることでしょう。一方で、中国への輸出において米国産大豆に対する競争力が高まることになるブラジルやアルゼンチンなどの南米産大豆の生産者が、今回の関税から最も恩恵を受けることでしょう。中国はすでに昨年時点で、米国よりもブラジルから多くの大豆を輸入していました。また、大豆粉は中国で生産される豚の主な飼料であり、原材料コストの上昇は中国の消費者物価指数の構成要素である豚肉の価格を押し上げることから、関税は中国の食品メーカーにマイナスの影響を与える可能性があります。

 まとめ

世界的な景気拡大に対する2つの主なリスクは、トランプ政権の保護主義政策からではなく、米国とユーロ圏の金融政策の潜在的な誤りから生じます。

米国では金利がまだ低く、「金融状態インデックス」はまだ金融緩和状態を示しているものの、正規の銀行システムにおけるマネーサプライとクレジットの伸び率は1年前のほぼ半分に鈍化しています。この収縮は、シャドー・バンキング・セクターの再拡大で穴埋めされているわけでもありません。さらに、今年4,200億米ドルに達するFRBのバランスシートの縮小がマネーサプライとクレジットの収縮に拍車をかける可能性があり、商業銀行が相当量の信用創造に踏み出さなければ、名目ベースでも実質ベースでも、GDP成長が大幅に落ち込むリスクがあります。銀行が大量の米国債を購入し、減少するFRBの超過準備の代わりに政府に対して信用創造を行うようになれば、クレジット・クランチ(信用ひっ迫)は避けられないわけではありませんが、事態は深刻で、警戒する必要があります。

ユーロ圏では、銀行が適切な信用を創造できないことが問題となっています(FRBが資産購入を縮小し始めたものの、銀行が年率8%で信用を拡大した2014年の米国の状況とは対照的です)。もし、これまでの発表が示唆しているように、ECBが資産購入を9月に終了するのであれば、M3が少なくとも4〜5%で継続的に増加するように銀行が十分な信用を創造できる態勢を確保する必要があります。言い換えると、欧州の銀行システムが脆弱であることを踏まえると、ECBがバランスシートの縮小を始めるかなり前に、マネーサプライの収縮が生じる可能性があるため、現在のユーロ圏は2014年の米国よりも量的緩和の終了の影響を受けやすいと言えます。

最近の報道は、米中の報復的な貿易措置で満ちあふれています。トランプ大統領の脅しは、特に知的財産権や情報技術の分野において、米国や米国以外の企業に公平な機会を与えるように中国を説得することを意図しており、そのため、両サイドから何らかの妥協案が提示されて、深刻な貿易戦争は回避される可能性が高いと私は見ています。関税は消費者や企業にとっても間違いなく悪いニュースですが、製品輸入は米国のGDPの約12%、中国のGDPの約15%に過ぎないため、両サイドの関税が実施されても、実体経済活動に与えるダメージはGDPの約0.1〜0.2%に過ぎないでしょう。そのため、IMFのラガルド専務理事が発したような、貿易戦争が世界経済を破綻させる原因になるという警告は大げさな誇張だと私は考えています。

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