周藤 一浩氏

INTERVIEW

ブロックチェーン 有識者とつながってみた
Vol.2 後半 株式会社野村総合研究所 周藤 一浩氏

2019年9月17日

世界を変える技術と言われるブロックチェーン、それによる変化は始まったばかりであると考えられます。
インベスコ・アセット・マネジメントでは、その変化の最先端にいる有識者との対談を通じて、ブロックチェーンの可能性を お伝えしていきたいと考えています。
ブロックチェーンという技術革新によって、従来の感覚では想像もつかなかったサービスや仕組みが出てくることでしょう。
そんな明るい未来の一端を少しでもご紹介できればと考えています。

第2回目の有識者は、株式会社野村総合研究所の金融DXビジネスデザイン部の周藤一浩氏です。周藤さんはコンピューターのエンジニア出身で、中国の精華大学でMBAを取得した後、現在は、フィンテックや暗号資産(仮想通貨)を含め ブロックチェーンに絡む金融ビジネスのリサーチやコンサルティングを行っています。

後半となる今回は、周藤さんのビジネスでの経験に基づいて、前回お話していただいたブロックチェーンの現状に続き、金融以外でのブロックチェーンの活用や収益構造についてもお話いただきます。

周藤 一浩氏
周藤 一浩氏
インベスコ: 今後のブロックチェーンの活用ですが、金融以外での分野ではどうなのでしょうか?
周藤:一般論ですが、データ、ヒト、モノ、カネの流れの中で、真正性や透明性が問われるケースでは、ブロックチェーンが有効だと考えられます。具体的には、データでは不動産登記や選挙の投票、ヒトでは個人IDや医療データ、モノでは物流の真贋記録などで、活用が進んでいる、もしくは期待されます。ただ、ブロックチェーン単独ではなく、IoTやAIなどと組み合わせることで、より効果的な活用、発展があると考えています。
インベスコ: 最後に、ブロックチェーンに絡む産業の収益構造の特徴を教えてもらえますか?
周藤: 非常に良いポイントですね。収益構造には大きな特徴があると言えます。それを説明するためにも“ファット・プロトコル”という考え方を紹介したいと思います。ジョエル・モネグロという人によって提唱されたのですが、インターネットではプロトコル(httpなどの規格)よりもアプリ(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルなどの巨大IT企業)に金銭価値が集中する一方、ブロックチェーンでは、アプリではなくプロトコル(ビットコインなどの基盤技術)に金銭価値が集中するという考え方です【図2】。つまり、インターネットでは、アプリケーションを通じてビジネスの仕組みを作った企業が勝ち組となったのですが、ブロックチェーンでは、基盤技術そのものが勝ち組となるだろうということです。

【図2】”ファット・プロトコル“による金銭価値の集中イメージ

四條 能伸氏
出所:野村総合研究所の資料を基に当社にて作成 ※上記はイメージであり、実際とは異なる場合もあります。
インベスコ: なるほど、インターネット大手の一極集中とはずいぶんと異なりますね。
周藤: こうした金銭価値の集中が逆転するのには、構造的な理由があります。それは、ブロックチェーンが共同体のようなものだからです。インターネットでは、アプリを提供する企業に排他的な権利や利益が集中しましたが、ブロックチェーンでは、アプリの提供に参入障壁が低く、言わば誰でも参加できるため、権利や利益が集中しにくいと言えます。加えて、ブロックチェーンのアプリの成功は、そのブロックチェーンのコインの流通増加、価値上昇でもあるので、コインのプロトコル(基盤技術)の増大につながるというループ構造にあります。ブロックチェーンの勝ち組を見出すには、このような収益構造の特徴を知っておくのも良いかもしれませんね。
インベスコ: 周藤さん、ビジネスの現場からのエキサイティングなお話をしてくださり、本当にありがとうございました。

<終わり>
上記は2019年6月25日の周藤氏への取材を基にインベスコ・アセット・マネジメントにて作成。